Q-スイッチアレキサンドライトレーザーとは
- アレキサンドライトレーザーは、波長755nmの比較的組織深達性の高いレーザーです。
- Qスイッチレーザーは、極短時間レーザー光線を照射することにより、メラニン含有細胞を選択的に破壊し、発熱による周囲組織への影響を最小にします。
- 特徴としては、ルビーレーザーより正常組織への障害が少ないことです。
- 関東労災病院で使用するQスイッチアレキサンドライトレーザー(米国キャンデラ社製ALEXⅡTM)は、メラニン色素に吸収されやすいという特性を生かし、皮膚の異常メラニンだけにレーザーが反応し、徐々に色を薄くしてことができます。
- レーザー治療では、メラニンの濃さや深さなどによって反応が違ってきますので、すべての症例が1回の治療で完治するわけではありません。
- シミやそばかすの治療は比較的少ない回数(1~3回)で終了しますが、安易にシミがすぐと消えるというわけではありません。お顔の青アザ(太田母斑)の場合、5~10回の治療を行い、ほぼ完治します。異所性蒙古斑は、1〜3回程度で薄くなります(青あざの治療のコラムを参照してください)。
一方、また、患者さんご本人による照射前・後のお肌のケアが大変重要になります。
このレーザー治療の効果をより良くするために、下記の注意点や予想される効果・副作用についてよくお読みになり、治療を受けられるかどうかご自身でご判断ください。
対象疾患
- メラニン沈着性疾患
(老人性色素斑・しみ、雀卵斑・そばかす、脂漏性角化症、太田母斑、扁平母斑、ベッカー母斑、異所性蒙古斑、色素性母斑、遅発性太田母斑様色素斑)
- 外傷性刺青
- 刺青など
禁忌
肝斑、皮膚癌、前癌状態、極端に日焼けした肌、治療後日焼けする可能性が高い場合など
※肝斑:女性ホルモンの異常やピルの内服などが原因と言われています。両方の頬部、眉の上、下あごなどに、ぼんやりとした薄いしみが出てくるものを言います。紫外線や刺激による慢性炎症により出てくるといわれています。治療としては、日焼け予防を行い、ハイドロキノン、トレチノインの外用およびトラネキサム酸の内服治療を行います。 高出力のレーザー照射により炎症性色素沈着が長期におよび、また肝斑が増悪します。シミ、そばかすと混在する場合があり注意が必要です。
《照射前の注意》
- 照射前の日焼けは禁止です。日焼けした肌では副作用が強く出る可能性があります。日常から日焼け止めなど使用して日焼けを防いでください。
(足や手などを治療する場合も同様です)
- 顔にレーザーを照射する場合、お化粧が残っているとレーザー光を過剰に吸収してしまう可能性がありますので照射前は必ずお化粧をきれいに落としてください。
乳液・化粧水・日焼け止めだけの場合でもすべてを洗い流すか、ふき取ってください。
- レーザーを照射するときは待ち針で軽く突つくような痛みがあります。
範囲が小さければ充分我慢ができますが、どうしても痛みを我慢できない方や場合によっては、表面麻酔(クリームまたはテープなど)を外用する場合もございます。
痛みに弱い方は無理をせずにお申し出ください。
- 麻酔の副作用としては、発赤、かゆみ、アレルギー、ショックなどを起こす可能性があります。
《照射中の注意》
- 顔面に直径3〜4ミリサイズのレーザーを照射していきます。待ち針で軽く突つくような痛みがありますが、なるべくゆっくり当てていきますので、照射中は絶対に動かないでください。
- 照射した部位は直後に一端白くなりますが、徐々に落ち着いてきます。
その後、熱感が出てくると思います。予想される経過ですのでご安心ください。
- 眼に光線が入ると大変危険です。術中は、アイマスク、保護用コンタクトレンズなどで眼を遮光しますが、照射中は眼を閉じて下さい。
- 強く照射すると色素脱失や盛り上がった傷跡(肥厚性瘢痕)や目立つ傷跡になりますので、数回に分けて治療する場合があります。(2度目の治療は3ヶ月以上先になります。)
《照射後の経過と注意》
- 治療が終わりましたら数分患部を冷却します。
- 軟膏を塗って、場合によっては、テープやガーゼなどを貼る場合もあります。その場合、テープは無理に剥がしたりしないようにしてください。
- 照射部位は皮膚表面が炎症をおこしている状態で、照射部位は赤黒い色になりますが心配はいりません。
- 照射部位・状態によっては入浴や洗顔を控える必要があるかもしれません。当日医師の指導を受けてください。基本的に照射部位を強くこすったりすることはせず、石鹸をよく泡立ててそっと洗ってください。
- 1週間くらいで照射部位にケガをした時のような黒いカサブタができます。決して無理にはがさないでください。
- 10日から2週間くらいでカサブタが自然にはがれます。シミ治療の場合、その下には薄いピンク色の綺麗な皮膚が見えてきます。この状態が一番紫外線を吸収しやすい状態でもっとも注意が必要な時期です。日焼けをしてしまうと元に戻ってしまう可能性があります。担当医師の指示に従い、紫外線予防(遮光)をしてください。
- レーザーの反応による影響で照射した部位が、一時的に色が濃くなって見えることがあります(炎症後の色素沈着)。色素沈着を予防する塗り薬がありますので併用することもお勧めしています。
《期待される効果など》
- 皮膚表面のいわゆるシミやソバカスであれば、色はかなり薄くなり目立たなくなります。ただ、シミのタイプや個人差によって効果に差も大きく、1回で劇的に効く方とそうでない方もおられます。
2~3回の治療を目安にしてください。また、シミのように見える肝斑やイボが混在する場合は違う治療方法が必要となることがあります。
- 太田母斑の場合、繰り返し治療を続けることでほぼ100%の効果が可能です。
- 黒系の刺青は、繰り返し治療していくことで色素が薄くなっていきます。ただし、使用した墨の素材・色によっては治療が困難な場合がよくあります。テスト照射を行い、場合によっては治療を行わないことがあります。
《予想される一時的な副作用》
治療後、数日から1週間程度は照射部位が腫れて見えますが心配いりません。
カサブタが剥がれた後、炎症後の色素沈着が起きる可能性があります。
レーザーの反応による影響で治療前よりも一時的に色が濃くなって見える現象です。
日本人の場合は良く見られますが、一過性のもので、何もしなくても数ヶ月から半年で消えますので心配ありません。なるべく早く良くするため塗り薬の使用をお勧めします。
また、レーザーが強く反応した場合、稀ですが一部水ぶくれになること、周りの皮膚よりも色が白くなって見える状態が続くことがあります(色素脱失)が、時間とともに目立たなくなっていきます。
各論
- 老人性色素斑、しみ:
皮膚の代謝が衰えてくると、紫外線や、物理的な刺激などで増えた、メラニン色素が排泄できなくなり、シミとして定着してしまいます。光老化による一症状で若年者に見られることもあります。前がん症である日光角化症や悪性黒子と鑑別のため一部切除して病理組織検査をすることがあります。
- 雀卵斑、そばかす:
遺伝的な要素の多いもので、3歳ごろからみられますが、思春期に著しくなります。また、春から夏にかけて目立つようになり、秋から冬にかけて目立たなくなります。頬を中心に日の当たりやすい場所に小さな色素班が、ぱらぱら出てきます。
- 脂漏性角化症:
皮膚の老化現象のひとつで、色は褐色調ですが、健康な皮膚に近い色調のものから黒色調のものまでさまざまな濃さのものがあります。大きさは数mmから2~3cmくらいで、わずかに盛り上がるものから突出したしこりになるものまであります。アレキサンドライトレーザーの他にCO2レーザーで治療することがあります。
- 太田母斑:
眼の周囲・頬部に青色からやや褐色の小さい点が集まって斑をつくります。出生直後から目立つ場合と、思春期ころに目立ってくる場合とがあります。深い所に母斑細胞がありますので複数回照射が必要です。
- 扁平母斑:
いわゆる“茶あざ”で、扁平な、点状から面状に分布する茶褐色の色素斑がみられます。通常は発毛を伴いませんが、少し濃い発毛を伴うものをベッカー母斑と言います。レーザーを照射してしばらくは消えていたものが次第に再発する場合もしばしばあります。再発率が高いのが特徴です。自費治療になります。
- 異所性蒙古斑:
蒙古斑は黄色人種にはほぼ必ずあり、ほとんどが5~6歳で消えます。時に四肢や体幹部などにできる場合があり、これが異所性蒙古斑です。異所性蒙古斑は通常型より消えにくい傾向があります。
- 色素性母斑:
いわゆる“ホクロ”です。アレキサンドライトレーザーの他にCO2レーザーで治療することがあります。大きいものは、外科手術が必要です。悪性のものと鑑別する必要があるときには切除して病理組織検査を実施します。
- 遅発性太田母斑様色素斑:
肝斑に似ていますが、色が少し黒味を帯びていて、両側対象性に出てくるのが特徴です。あざの一種なので、メラニン色素が増えているのではなく、メラニン色素を作る細胞が増殖しています。
- 外傷性刺青:
けがにより、細かい泥や砂が皮膚に入り入れ墨となります。
アレキサンドライトレーザーにて改善します。
- 刺青:
赤色など刺青の成分に鉄を含んでいる場合、レーザー治療をすると酸化還元反応により黒くなる場合があります。緑や白など色によっては反応しません。治療には複数回照射が必要です。