発熱は、私たち小児科医が最も多く遭遇する症状です。発熱というと、『高熱で後遺症が残る』など、悪いイメージしか持てないかもしれません。お母さんが、慌ててしまうのもよく分かります。なかには『発熱恐怖症』と診断をつけたくなるお母さんもいて、子どもの風邪よりも重症だったりします。
発熱の原因はさまざまですが、普段の外来で診る急な発熱の多くはウイルスや細菌による感染症です。平常の体温(平熱)は脳が決めていますが、感染症のときはその設定が高温に切り替わります。体温を上げたほうが、ウイルスや細菌の増殖が抑えられ、白血球(ウイルスや細菌と闘う細胞)の働きが強くなるなど、感染症と闘いやすくなるからです。
つまり、発熱は体の防御反応の一つであり、感染症の子どもにとっては味方ともいえるものなのです。
また、感染症に伴う熱で、『後遺症が残ること』はありません。髄膜炎や脳炎などの中枢神経感染症では、脳に後遺症を残す可能性がありますが、その犯人はウイルスや細菌です。高熱は単なる症状にすぎません。高熱で脳が焼けたり溶けたりするわけではないのです。
もちろん、発熱にもデメリットはあります。感染症と闘うために必要なものとはいえ、熱が高ければそれだけ体力を消耗し、体全体の抵抗力が落ちてしまう可能性もあります。解熱剤を使う意味はそこにあります。子どもが高熱でつらそうだったり、ぐったりしていれば、解熱剤を使ってあげてよいでしょう。逆に、高熱でも比較的元気にしていれば、防御反応である熱を解熱剤で下げる必要はありません。
発熱自体は怖いものではありません。大事なのは、熱の高さよりも子どもの全身状態です。高熱だが活気があってご機嫌の場合より、微熱だがグッタリして不機嫌な場合のほうが重症です。全身状態が良くない場合、早めの受診が必要になります。
熱の高い低いに一喜一憂せず、全身状態をしっかりみて、発熱と上手につきあってください。
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