脳は、左右の内頚動脈、左右の椎骨動脈の4本の血管から栄養を受けています。内頚動脈は頚部で頭の皮膚を主に栄養する血管である外頚動脈と頭蓋内を栄養する内頚動脈に分かれますが、その分岐部のところで、動脈硬化が原因で狭窄することによって頚動脈狭窄症をきたします。
脳梗塞は脳の血管がなんらかの原因で詰まってしまい、それらの血管が支配する脳細胞が障害されます。障害された脳細胞が担当する脳機能が消失することにより症状が出現し、それらが壊死することにより後遺症が出現する病気です。
脳梗塞の発症から数時間以内であれば、詰まった脳の血管を再開通させて出現した症状を回復させる可能性があります。血管の閉塞から血流の再開までの時間が早ければ早いほど壊死に至る脳細胞が少なくなるため症状、後遺症の程度が軽くなる可能性があります。
このように脳梗塞の急性期に血行を改善させて症状の改善を目指す治療が急性期血行再建の治療と呼ばれています。
血行再建の方法にはtPAという薬剤を静脈内に点滴する治療と、カテーテルを使用して血行再建を図る脳血管内治療があります。いずれの治療においても発症から数時間以内しか効果がないとされており、症状を発現してしまった患者さんについては可及的速やかに救急車を呼んでいただき当院に来院されることが必要です。最新の論文では可能な症例については両方の治療を行うことによってより後遺症を減らすことができるとされており、当院でも24時間365日体制でそれら治療法を行える体制を敷いています。
薬剤を点滴して再開痛を目指す治療は組織プラスミノゲン・アクチベーター(tPA)という薬品を点滴で投与することで、体内で薬剤が血管を詰まらせている血栓にとりついて溶解させ、詰まった血流を再開痛するように働きます。詰まった血管の先にある細胞が完全に死んでしまっている場合は再開通した血流によって逆に出血してしまうこともあるため、来院時の頭部MRIなどの画像を確認し、患者さんの既往に出血のリスクが少ないことを確認して投与します。また、発症4.5時間以上経過していると出血のリスクが高くなり、再開通しても後遺症の改善が望みにくいため投与できません。
最新の論文の結果では急性期のカテーテルなどを使用した血管内治療を適切な症例に対して行うことによって、後遺症の出現をより抑えることができるという結果が出されました。これにより欧米の脳卒中治療ガイドラインには急性期脳梗塞に対しては血管内治療を行うべきとされており、本邦でもそれに準じた治療が行われております。治療に使用する道具についても様々なものが発売されていますが、当院では最新の機器を取り揃え、治療適応の患者さんに対しては最善の治療を行っております。
来院時診察を行い脳梗塞の重症度を判定します。そして頭部MRI画像などで脳血管の閉塞の確認、脳細胞が完全に死んでいる状態ではないことを確認します。

閉塞血管を再開通させれば症状が改善する見込みがある症例の場合はtPAの投与、血管内治療を検討します。点滴治療を行う場合は点滴を行いながら血管内治療を行います。
血管内治療は血管撮影室というところで脳血管内治療専門医が行います。鼠径部の動脈からカテーテルという管を閉塞血管の近くまで進めて、再開通専用の道具を使用して閉塞した血管を再開痛させます。当院では脳血管内治療専門医は2名在籍しており、他脳神経外科医、神経内科医の補助を得て治療にあたっております。再開通専用の道具は近年目覚ましく発達しており、当院でも日本で使用できる最新の機器を取り揃えて治療に当たっております。



手術は全身麻酔で行います。頚部の胸鎖乳突筋と呼ばれる筋肉の前側に沿って約7cm皮膚を切ります。神経や血管に注意しながら、頚動脈を露出していき、細くなった頚動脈を切開し内膜の剥離を行っていきます。当院では、血管の切開や縫合の際に血行を遮断しないように内シャントといわれるチューブを血管内に挿入し、脳への血流を保った状態で狭窄部位のプラークの剥離と摘出を行います。また、血流遮断によって脳梗塞にならないようにモニタリングを行いながら安全に配慮して手術を行っております。
顕微鏡を用いて肥厚し動脈狭窄の原因と成っている血管の内壁を剥離、摘出し、頚動脈を縫合して、血流が十分に改善していることと止血を十分に確認します。皮膚を縫合し、手術終了します。


手術後は、CT、MRI、3D-CTA、 SPECTなどの検査を行い、脳梗塞がでていないかどうか、狭窄が改善しているかどうか、脳の血流を評価します。経過に問題がなければ、7-10日で自宅退院となります。
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