日本人の生活様式は第二次世界大戦を契機に大きく変化して来ました。これに伴い、日本人の死亡原因の第1位は結核から脳血管障害に、1980年に入り悪性腫瘍へと変わってきました。
耳鼻咽喉科で扱う癌は喉頭癌が最も多く、他には舌癌、上顎癌などがあります。組織は扁平上皮癌という白くて硬い癌腫です。発癌要因として考えられるのは、喫煙、飲酒と癌抑制遺伝子の欠落です。
ブリンクマン指数という言葉があります。毎日、タバコを20本、20年間吸っている人は20×20=400と計算され、ブリンクマン指数は400となります。喫煙者と非喫煙者との研究で有名なHirayamaの報告では、喫煙が肺癌発症の要因となっています。
一方、飲酒に関してはサケ指数という言葉があります。ビール1本、日本酒1合、ウィスキー水割り1杯を1単位として計算します。例えば、毎日ビール2本を20年続けた場合、2×20=40と計算されサケ指数40となります。肺癌同様、喉頭癌は以前から喫煙が発症の要因と考えられて来ました。実際の治療にあたった患者さんの実態調査からは、喉頭癌のみならず、咽頭癌の例で非常に高い喫煙、飲酒の嗜好性が確認されました。
耳鼻咽喉科を訪れる癌患者の平均年齢は60歳以上です。過去、日本は有数の喫煙国であり、男女間の生活様式の差も発癌要因を後押ししたものと考えます。癌が2つ以上発症することを重複癌と呼びます。調査では重複癌の人達は10人にひとり程度ですが、ブリンクマン指数1,000以上、サケ指数100以上というツワモノばかりでした。
今後、喫煙、飲酒の嗜好と発癌に関する啓蒙を行うことは充分必要と思います。私は喫煙の嗜好はないものの飲酒の嗜好が高いため、喫煙に関しては厳重に勧告する割に、飲酒に関しては説得力に欠けてしまいます。しかし、食道付近の癌では飲酒の嗜好だけの例も存在します。また、兄弟や親子で癌発症のケースなどでは受動的喫煙の関与が伺えます。喫煙では吸い込む主煙流よりも吐き出す副煙流に発癌物質は多く含まれます。受動的喫煙への啓蒙も大切と考えます。
いずれにしてもタバコも酒もほどほどが良いのではないでしょうか?

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