2月にはいるとマスコミでは花粉症の話題が多くなります。医学部や看護学校の試験で「鼻アレルギーの3大徴候は?」と聞いても、マスコミのおかげで「くしゃみ、鼻水、鼻づまり」と答えが返ってきます。
「じゃあ、症状が出てくる順番は?」と質問すると、皆、口が滞ります。症状が出てくる順番には理由があります。
次に、「鼻アレルギーの3大吸入抗原は?」と聞くと、まずスギと答えてしまうでしょう。スギと言ってしまうと次にはブタクサ、カモガヤといった花粉が羅列され正答にはなりません。
正答は『室内塵(ハウスダスト)、真菌、花粉』です。
テレビで写し出されるスギの木からの黄色い花粉のオーラは、花粉症の患者にとってはいじめ以外のなにものでもないでしょう。
マスコミの取材では、決まりきった医療関係者のコメントが紹介され、素人ながらも考え抜いた花粉対策防具やグッズなどの紹介があり、茶の間の話題となります。中には首をかしげてしまうような非現実的なグッズも登場しますが、それだけお金をかけるのだったら、住む地域を変えたほうが…と思ってしまうこともあります。
「季節労働者」の耳鼻咽喉科医にとっては、一年の中でもっとも多忙な季節となります。しかし、患者さんの手前うきうきしている訳にもいきません。
私が在籍していた医局では、医局員の3人に1人は鼻アレルギーをもっていて、薬の治験(臨床試験)は医局員でまかなえたのも現実です。
医者も仙人ではありません。