正常圧水頭症

               
   
       
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8.正常圧水頭症
 
水頭症とは
 脳は脳脊髄液という無色透明の液体で満たされた空間に浮かんで存在しています。脳脊髄液は絶えず産生・循環・吸収され、頭蓋内には一定量が保たれていますが、髄液循環・吸収の障害により、髄液が頭蓋内に過剰に溜まり、脳の機能が障害されることにより様々な症状を呈する病態の事を、水頭症と言います。 水頭症にはいくつかの種類がありますが、ここでは正常圧水頭症を紹介します。正常圧というのは、髄液が存在する脳室の拡大がみられるものの、頭蓋内圧はほぼ正常に保たれていることが多いということを示します。以下のように分類されます。

 続発性正常圧水頭症・・・・くも膜下出血、頭部外傷、髄膜炎などの後に二次的に発症するもの
 特発性正常圧水頭症・・・・原因がはっきりせず、主に高齢者に発症するもの

症状
 典型的な症状として、「歩行障害」、「認知機能の障害」、「尿失禁」が三徴とされますが、全て揃わない場合も多々あり、この順で出現する頻度は高いと言われます。歩行障害は、歩幅が小さく、不安定となり、すり足、足が開き気味、ゆっくりになる、などの特徴があります。また、無関心、自発性低下などの精神症状を伴うこともあります。なんとなく元気がなくなり、食事もあまりとれなくなってきたため来院し、調べてみると水頭症であったという例も比較的よく見られます。
           
診断
 問診により症状の経過を確認し、頭部CT、MRIによって脳室拡大などの有無を確認します。高齢者では、脳室が拡大しているように見えても、脳萎縮が進んでいるだけの場合もあり、注意が必要です。また、後述するシャント術の適応があるかどうかを判断するために、「タップテスト」という、腰椎穿刺により脳脊髄液を排出し、その前後での症状経過を評価する試験を行うことがあります。

治療法
 現在、水頭症に対して有効な内科的治療(薬物など)はありません。 シャント術と呼ばれる手術を全身麻酔下で行います。シャントとは日本語で「短絡」を意味し、余計な脳脊髄液が体内の別の場所に常時排出されるよう、チューブで繋ぐ手術ということになります。当院で行っているシャント手術は以下の2通りの方法があります。
  脳室-腹腔シャント術(VPシャント術)
    全国的にも当院でも最も多く行われているシャント術で、脳室内と腹腔内(腸管が存在する空間)をチューブで繋ぎます。間のチューブは皮下を通ることになります。
  腰椎くも膜下腔-腹腔シャント術(LPシャント術)
    腰椎くも膜下腔と腹腔をチューブで繋ぎます。最近増えてきている手術方法です。原則として、脳室内と腰部くも膜下腔の間に閉塞が無いことが適応の条件となります。脳を扱わない手術のため低侵襲ですが、シャント機能不全(後述)が多いと言われています。
     
シャントの圧変更
 シャントの圧(≒排液量)を調節するために、シャントバルブ(弁)を同様に皮下に留置します。頭皮の上から専用の圧変更器を当てることで設定を変えます。ベッドサイドや外来診察室で変更することが可能です。従来、このバルブはMRIなどの強い磁気に反応して設定が予期せず変わってしまうため、MRI検査後には必ずレントゲン撮影で圧設定を確認する必要がありました。しかし、最近ではMRIでも基本的に設定が変わらないタイプの製品が出ており、当院では積極的にそのバルブを使用しております。(CODMAN CERTASR PLUSなど)
   
(出典:水頭症.jp)

シャント術後の経過
 歩行障害は2ヵ月後には90%で改善が明瞭となり、1年後に95%で改善、排尿障害は1週で90%に改善が報告されています。認知機能障害は、アルツハイマー型認知症などを合併している例もあり一概には言えませんが、徐々に改善して1年で67%の改善率が報告されています。
 
例:脳室-腹腔シャント術後 頭部レントゲン写真(右後角からの穿刺による)
 
 
術後合併症について
シャント感染症
手術時の空気中や皮膚の細菌定着、創部感染によって起こります。髄膜炎、脳室炎、腹膜炎などが起こり、場合によってはシャントを抜去し、後日改めてシャント術をする必要があります。
シャント機能不全
シャントの閉塞・断裂・逸脱によって起こります。シャントが効かなくなることにより、水頭症の症状が再度増悪します。
脳脊髄液過剰排出
低頭蓋内圧症候群となり、頭痛を呈したり、硬膜下水腫・血腫が出現したりする場合があります。シャントの圧設定変更が必要となります。
その他
腸管穿孔、腹水、陰嚢水腫など
     


  
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