感染症の治療:抗菌薬について

            丹羽一貴
           
   
          
        感染症内科 副部長 丹羽一貴
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注:主に“成人”の場合について記載しています。

「抗菌薬」とは?
「細菌」の増殖を抑制したり、殺したりする働きのある薬のことです。細菌とウィルスの違いについては、こちらをご覧ください。

■抗生物質とは違うの?  
「抗菌薬」のうち、細菌や真菌といった生き物から作られるものを「抗生物質」といいます。  「抗菌薬」には、純粋に化学的に作られるものもあります。ただし、一般用語としては、ほぼ同義として使用されることが多いようです。 

■熱がある時、「抗菌薬」を飲めば早く治るの?
大前提として、発熱が「感染症」によるものである場合、つまり“細菌”による感染症である場合にのみ、抗菌薬は効果を発揮します。ウイルスや真菌といった他の病原微生物、非感染性疾患の発熱時には抗菌薬は効果を発揮しません。

一般に“かぜ(感冒)”と呼ばれるものは、ウイルス感染症であることがほとんどです。 特定のウイルス感染症では抗ウイルス薬が有効な場合がありますが、多くのウイルス 感染症は、自分の免疫力で自然に治癒するのを待つ必要があります。前述のごとく、ウイルス感染症に抗菌薬を使用しても、治療効果がないばかりか、副作用の可能性は上昇してしまいます。症状がどうしてもつらい場合には、症状に応じた治療(対症療法)を行いますが、ウイルスに対する根本的な治療ではありません。

検査・細菌培養の結果、“細菌”による感染症であった場合には、抗菌薬を使用することにより、症状の改善は早くなります。

 

  細菌 ウイルス
インフルエンザ ノロウイルス など
抗菌薬(抗生物質) × ×
抗ウイルス薬 × △(抗インフルエンザ薬) ×

※ ○:効く  ×:効かない  △:条件が揃えば効く  
※ 細菌の種類により、効果のある抗菌薬は異なります。 
           

■「抗菌薬」はどんな時に使ったらいいの?
基本的には、医師が必要と判断した際に使用して下さい。自己判断での抗菌薬(残薬など)の使用は、その後の検査・治療に影響が出る可能性がありますので、控えて下さい。

■喉が痛い時には、抗菌薬を使う必要があるの?  
前述のように「抗菌薬」は“細菌感染症”にのみ効果を示します。成人の咽頭炎(喉の痛み)の  90%以上は“ウイルス感染症”によると言われております。むやみに抗菌薬を使用することにより、耐性菌(抗菌薬が効かない細菌)が増え、治療の選択肢を減らしてしまう可能性があります。検査結果などにて本当に必要な場合以外、喉が痛い時に抗菌薬を使用する場合はかなり限定されます。 

■「抗菌薬」はどれも同じ?
原因となる細菌(原因菌)にたくさん種類があるように、抗菌薬も多くの種類があります。細菌に応じて、効果のある抗菌薬と効果のない抗菌薬があるため、原因菌を特定して治療を行うことが治療成功への近道となります。

原因菌を特定するためには、“培養検査”を行う必要がありますが、検査結果が判明する まで数日間(大体1~5日間程度)を要しますので、抗菌薬が必要な場合には、医師は 原因菌を推定して薬を処方します。

一般的に、“点滴”の抗菌薬の方が、“内服”の抗菌薬より、治療効果が高いと言われて おります。ただし、1日1回の投与では治療効果が得られないことがほとんどであるため、抗菌薬による治療時には、種類、投与方法、投与量、投与期間、原因菌など、十分に検討してから使用する必要があると言われています。Aという細菌にはBという薬が効く、何日間使用する必要がある、というのは、決まったものがありますので、これを参考に医師は治療を行います。 

■治療可能な「ウイルス感染症」には何があるの?
日常生活の中での、“急な”発熱をしばしば起こすウイルスで治療可能なものの代表は「インフルエンザ」です。冬に流行する「ノロウイルス」には効果のある抗ウイルス薬はありません

「インフルエンザ」に対して、抗インフルエンザ薬を発症2日以内使用すると、有熱 期間が半日~最大3日間程度短縮されると言われていますが、費用、副作用などを総合的に判断し、65歳未満の免疫正常者には使用を推奨しておりません。

その他、“治療可能な”ウイルス性疾患 
・ B型肝炎、C型肝炎  
・ HIV  
・ 水痘・帯状疱疹ウイルス  
・ ヘルペスウイルス  
・ サイトメガロウイルス など 

■感染症が治っていく経過は? どのくらいで症状がなくなるの?
日常生活の中での、“急な”発熱の原因として頻度の高い「ウイルス感染症」の多くは、 個人個人の免疫力により治癒まで経過は異なりますが、概ね、数日から10日前後で改善することが多いです。ただし、中には2週間以上持続する場合もあります。咳を伴うウイルス感染症などでは、咳が1か月程度持続することも時に起こりますが、あまり症状が長く続く場合には、開業医、専門医への受診をお勧めします。

「細菌感染症」は感染した原因菌が巣くっている部位(臓器)により、症状軽快までの 期間、治療期間が異なります。ほとんどの細菌感染症において、治療が適切であれば、 3日程度で症状が軽快することが多いです。ただし、抗菌薬による治療は1~2週間程度 必要となることが多いです。

 

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