人工内耳

            杉内智子
           
   
          
        関東労災病院 感覚器センター 杉内 智子
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  人工内耳とは、音を聞く機能に障害があり、補聴器を使っても十分に聞こえない重度難聴の人の聞こえ方を支援する有用なシステムです。 1970年代後半から米国や豪州を中心に開発され全世界に急速に普及し、ほぼ確立された医療となりました。わが国でも85年から導入され94年に保険適応となり、今やその使用者は小児も含めて4,000人近くに達しています。
 人工内耳は耳の中に埋め込み、音を聞くための聴神経を刺激する電極を含む体内部分と、体外で着脱可能な音声解析装置(耳かけ形。もしくは箱形)、音声を拾うマイクロホンなどの組み合わせで成り立っています。
 
 電極を埋め込む手術は全身麻酔をかけて行っています。耳の後ろの骨を削って、聴神経がある蝸牛(内耳の中にある器官)に電極を差し込み、電極以外の部分を側頭骨に固定し、頭皮ですべて覆います。この手術には3~4時間かかります。
体外、対外の機器の一部には磁石が付いていて、使用時には体内機器の連結部に体外機器を置くと皮膚をはさんで密着し、音声を電気信号として伝える仕組みになっています。磁石を使っているので必要に応じて簡単に着脱でき、洗髪や水泳も問題はありません。電池を入れますが、補聴器比べて電池消費量は多いようです。日本で認可されている機種は豪州製を米国製の二種類です。
 また、人工内耳の治療が適応されるのは補聴器の効果の少ない場合で、聴力レベルや年齢など、小児と成人に分けた詳しい基準が耳鼻科の学会で定められています。ただし、人工内耳の効果がどんなに良くても健常者のように聞こえるわけではありません。
 人工内耳で聞こえる新しい音に慣れ言葉を聴き取れるようになるには、リハビリテーションがとても重要です。特に小児の場合は、言葉の獲得と発達という大きな課題があります。人工内耳を成功に導くには、豊かな母子関係と適切な訓練や教育が不可欠なのです。
   どのような手術にもリスクはあり、人工内耳という方法を選択する過程には、その他のいろいろな要因も影響します。担当医、言語聴覚士、学校の先生など専門家との十分な検討と準備をしてください。聞こえなければならないわけではありません。でも、コミュニケーションにも学ぶにしても、聞こえることは便利なものではないかと思うのです。

こちらの特集は神奈川新聞に掲載された『大丈夫ですか?心と体』を当院ホームページ用に再構成したものです
 

 

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