アキレス腱断裂の治療(手術とリハビリテーション)

              
   
        スポーツ整形外科部長:
        中央リハビリテーション部:今屋 健・藤島理恵子
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  アキレス腱断裂は、主にスポーツ活動で起こり、ジャンプ、ダッシュ、ターンなどの動作によってアキレス腱に強いストレスが加わることで起こります。断裂の瞬間は「ボールが当たった」「後ろから蹴られた」ように感じ、痛みが生じます(右図)。
 アキレス腱断裂の治療には、手術をする手術的治療と手術をしない保存的治療があります。このうち、後者の保存的治療では長期の固定や免荷(体重をかけれない状態の事)を必要とし、筋力や関節の可動域の回復が悪くなります。このためできるだけ早くスポーツ復帰させるために、当院スポーツ整形外科では、筋力の低下、可動域制限(関節が硬くなること)、疼みなどの二次的障害の少ない手術的治療を第一に選択しています。実際に、全国的にもほとんどの整形外科施設(95%以上)でスポーツ選手のアキレス腱断裂の治療には手術的治療を第一に選択しているようです。それでは、当院スポーツ整形外科におけるアキレス腱断裂の治療を手術的治療を中心に説明します。

当院スポーツ整形外科の手術的治療の紹介

 
 アキレス腱断裂の手術的治療には、いろいろな方法が報告されています。これら様々な方法はそれぞれ長所と短所がありますが、いずれにしても断裂したアキレス腱を縫合糸で繋ぎ合わせるため、この部分の強度が高くなるまでの一定期間は免荷(体重をかけれない状態の事)が必要になります。しかし、当院スポーツ整形外科では手術方法の工夫により非常に強度の高いアキレス腱縫合が可能となり、手術後早く(4日程度)から体重をかけることが可能になりました。
 当院におけるアキレス腱断裂の手術件数は年々増え、現在では年間100件を超えるようになりました。件数としては日本最多と思われます。今後もより良い治療を提供できるよう努力して参ります。

手術後のリハビリテーション

 手術後のリハビリテーションでは、縫合したアキレス腱の強度を保ちながら筋肉の萎縮(筋が細くなること)、筋力低下、可動域制限を最小限にし、より早く、そしてより確実に日常生活、スポーツ活動を復帰させることが重要です。当院スポーツ整形外科では前述のように非常に強度の高いアキレス腱縫合を行っているため、従来より早いリハビリテーションプログラムを施行することが可能になっています。その結果、筋力低下、可動域制限は最小限になり、早い時期に歩行、ジョギングが行えるようになり、良好な成績を治めています。表に手術後の具体的なプログラムを示します。 当院で提供しているスポーツ・リハビリテーションの詳細はこちらでもご紹介しています。

アキレス腱断裂手術後のリハビリテーションプログラム

手術当日 ギプスで足関節を固定します
4日

ギプスにヒールを付け歩く訓練を始めます
ここで退院となります。翌日から通勤や通学が可能です。

4日の写真1 4日の写真2

12日後
12日後の写真1 12日後の写真2
ギプスを外し、装具になります 硬くならないための可動域訓練が始まります
3週間後

ふくらはぎの筋肉(アキレス腱と直接つながっている筋肉)を鍛え始めます

3週間後の写真

4週間後

固定自転車がこげるようになります

4週間後の写真

5週間後 裸足での歩行訓練を行います
6週間後

背伸びの訓練を始めます

6週間後の写真

8週間後 装具を外すことができます
9週間後

片足で背伸びができるようになります

9週間後の写真

10週間後

ジョギングを始めます

10週間後の写真

12週間後

縄跳びを始めます

12週間後の写真

3ヶ月後

軽いテニス程度の運動ができるようになります

3ヶ月後の写真

4ヶ月後 徐々にスポーツ復帰していきます
5ヶ月後 元のスポーツに完全復帰する事ができます

復帰後の写真1 復帰後の写真1

 このプログラムを簡単に説明すると、手術後4日後にはギプスをした状態で体重をかける訓練が始まります。多くの場合すぐに松葉杖なしで歩くことができるようになり、次の週にはギプスから装具になります。またこの時期から関節が硬くならないための訓練や筋力訓練などが始まります。そして、約10週でジョギングが可能になり、3ヶ月で軽いテニス程度の運動ができるようになります。スポーツの完全復帰は約5ヶ月になります。また、各々の患者さんには担当の理学療法士が付き、随時手術後の状態をチェックし、この一連のリハビリテーションプログラムを指導していきます。

以下に患者さんからよく聞かれる質問を載せてみました。ご参照下さい。

Q:入院期間はどのくらいですか?
A:アキレス腱を断裂し、これから手術を受けようとしている患者さんにとって、治療の質はもちろん入院の期間というのも重要な因子になると思います。仕事を持っている場合であればなおさらです。当院スポーツ整形外科では、基本的に入院期間を手術後4~5日程度としています。この時期であれば、体重をかけて歩くことができるので、歩行も安定し転倒などの危険性も少ないからです。


(著者:園部俊晴   H29.3.31まで在籍)

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